複雑な地下構造

 首都圏で地震が起きやすいのは、地下で3つのプレート(岩板)が

幾重にも重なっているためです。

その構造は世界で最も複雑で、さまざまな力が働き地震が多発していまいます。

 一番上にあるのは陸側の北米プレートで、その下にフィリピン海プレートが

相模トラフから北東へ沈み込み、さらに下では太平洋プレートが西へ沈み込んでいます。

 陸側プレートとフィリピン海プレートの境界部は関東地震の震源域となります。

ここに蓄積されたひずみのエネルギーの一部が関東地震の前に放出され、

首都直下地震を引き起こします。

そのメカニズムは極めて多様で、国はプレートの境界部や内部、活断層など

18タイプを想定しており、次にどこで起きるかは分からりません。

 明治以降のM7級は震源がはっきりしませんでしたが、文科省のプロジェクトチームによる

調査で、計5回のうち少なくとも3回はフィリピン海プレートの内部で起き、

発生確率が最も高いのはこのタイプだと分かりました。

 一方、地下構造を詳しく調べた結果、陸側プレートとフィリピン海プレートの境界部は、

東京湾の北部で従来想定より約10キロ浅い深さ約20キロと判明。

この場所で想定されている東京湾北部地震(M7・3)は震源が地表に接近するため

揺れが大きくなり、従来の最大震度6強を超える震度7の地域が出てきました。

 揺れは地盤が軟弱な河口付近や湾岸部で増幅されやすく、

千葉県浦安市付近を震源地と仮定した場合は東京都江戸川区や大田区、川崎市などで

震度7が予想される。ただ、震源地などの条件次第で揺れ方はかなり変わるため、

首都圏一帯のどこでも強い揺れに警戒が必要である事は間違いありません。