建物が火災を受けると1時間程度で約1000℃の高温にさらされます。
コンクリートがこのような高温を受けた場合は、
コンクリート中の水分の脱水やセメント水和物の分解などの反応が生じ
セメント水和物が劣化したり、急激な乾燥や熱応力によってコンクリート表層に
ひび割れや剥離などの損傷や強度低下を引き起こすなどの
劣化現象を生じる場合があります。
火災を受けたコンクリートの劣化の程度は、火災の規模、種類、
コンクリートの受熱温度の高さや受熱時間、コンクリート表面の仕上げの種類、
コンクリートの材料や配合、乾燥条件などによって異なります。
高温によってセメント水和物は、600℃程度まで水和物の脱水、
600℃~900℃で水和物の分解、1100℃~1200℃でコンクリートの融解が起こります。
また受熱温度が高いほどコンクリートの圧縮強度が低下し、
500℃で常温時の約50%、800℃で約10%程度となります。
コンクリート中の鉄筋の引張強度は600℃程度までは冷却後は回復しますが、
600℃以上では強度が低下し、火災を受けた鉄筋コンクリート部材は耐力が
低下することになります。
ただし、一般的には鉄筋コンクリート構造物は他の材料に比べ火災安全上優れた構造物であり、
コンクリートのかぶりによって鉄筋が保護されているため、
一般的な1時間から3時間程度の火災に対しては、構造物の崩壊などの重大な損傷には
至らず、火災後、適切な診断に基づいて補修・補強することにより
復旧することが可能です。
火災保険の保険料水準も、木造等の建物に比べたら割安です。
でも、上記の事から、全くリスクが無いというわけではありません。
※参考:日本コンクリート工学会