地震保険の基礎 その2

地震保険の概要です。昨日の繰り返しの部分もあります。

○地震保険は地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災・損壊・埋没または流失による損 害を補償する地震災害専用の保険です。

○地震保険の対象は居住用の建物と家財です。

○火災保険では、地震を原因とする火災による損害や、地震により延焼・ 拡大した損害は補償されません。

○地震保険は、火災保険に付帯する方式での契約となりますので、火災保険への加入が前提となります。地震保険は火災保険とセットでご契約ください。すでに火災保険を契約されている方は、契約期間の途中からでも地震保険に加入できます。

○地震保険は、地震等による被災者の生活の安定に寄与することを目的として、民間保険会社が負う地震保険責任の一定額以上の巨額な地震損害を政府が再保険することにより成り立っています。

ご質問頂く事がよくあるのですが、地震保険って、単独で入ることは出来無いものとなっております。少し、専門的になってしまいますが、通常の火災保険が基本の契約(主契約)となり、その契約に地震保険を付けて頂く事になります。
分かりやすく言うと、地震保険は特約のような位置づけと考えて頂ければご理解頂きやすいかもしれません。主契約となる火災保険が無いと、地震保険(特約のようなもの)は付けられません。

地震保険はそもそも入るのが原則となっております。地震保険が必要無い場合は、その意思確認の為にご契約のご署名やご捺印以外に、地震保険は付けませんという事の意思確認の為のご署名、ご捺印が必要となります。地震保険でないと、補償されない地震後の火災等から皆様の大切な財産を守るという意味で原則付帯となっているようです。

また、2番目に書かせて頂いた居住用の建物、ならびに家財(テレビやソファー、衣類や食器等)にしか地震保険は付けることができないという点についてお話します。
つまり、工場や会社等の事務所にしか使われておらず、住居として使われてない建物や、お店に置いてある商品等、また、1個または1組の価額が30万円を超え、貴金属・宝石・骨とう、通貨、
有価証券(小切手、株券、商品券等)、預貯金証書、印紙、切手、自動車等は地震保険には含められないという事になります。
※自動車については特約でカバーされる場合もありますが、現在はその特約自体の御引き受けをお断りしているケースがほとんどです。

地震保険は、民間の保険会社だけではなく、政府と共同で持っている保険になります。

民間の保険会社だけで持つとなると、リスクが高すぎるという点でも、政府が再保険している事になります。それだけ地震というもののリスクは高いものという事になります。

補償内容としましては、前述させて頂いた通り、基本の補償となる火災保険の保険金額の30%~50%の範囲内で地震保険の保険金額を決めることが可能です。
※ただし、建物は5,000万円、家財は1,000万円が限度です。

何故、火災保険の保険金額迄付けられないのでしょうか?

本来、火災保険の補償迄付けられれば、例え地震で建物が倒壊したとしても今までと同じ家を建てられるだけのお金を受け取って頂く事が出来るものです。
でも最大でも50%迄の補償しか付けられないものという決まりになっています。
それだけリスクが高いという事と、地震保険で受け取って頂くお金は、当面の生活資金や災害に遭う前の生活に少しでも戻せるようにする為の資金という位置づけでお考え頂いた方がいいものだと思います。
なので、生活する上で必要最低限、高価な物は地震保険の対象とは出来ず、人が住んでいる建物にしか付けられないという事になるのだと思われます。

ここで、建築士の知識から地震保険を考えますと、日本における建築基準法は地震に対して非常に
しっかりと考えられております。
基本的に地震から人命を守る為に建物があると言っても過言ではない位です。
構造計算する上で、例えば地震が来た時に建物が上からグチャっとつぶれてしまい、人命が奪われるという事が無いようにと計算され考えられています。
例え柱が折れたとしても、つぶれることが無ければ、人が押しつぶされる事は無いという考え方
を基に計算され建物は造られています。
(木造や鉄骨等はまた考え方が違ってくる部分もありますが基本的に人命を守る為という点は
 どの建物においても変わりありません)

命が助かり、その後の生活を立て直す為の資金を地震保険でカバーするというのが基本的な
考え方になってくるのではないでしょうか?

次回は、地震保険の支払い方についてです。

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